『気胸研究会』から長い歴史のある本学会の、第21回総会を、2017年9月8、9日の2日間、久留米市(久留米シティプラザ)で開催させて頂くこととなり、責任の重さを感じております。
本学会の前身であります『気胸研究会』は、1977年に武野良仁先生(第1回気胸学会会長)を中心に大畑正昭先生(第2回気胸学会会長)などとともに気胸研究会として発足され、年4回開催されていました。1997年より『日本気胸学会』として年1回総会が開催され、第7回(本田哲史会長)より名称を『日本気胸・嚢胞性肺疾患学会』と呼称変更がなされ、気胸のみを対象とするだけではなくCOPDや肺気腫・間質性肺炎関連疾患など気胸周辺疾患を広く網羅し、学会会員も呼吸器内科、呼吸器外科のみならず、一般外科、放射線科、病理診断科へと広がりが見られました。このような伝統に基づいて、気胸や嚢胞性疾患の病態、画僧診断、病理診断、内科的・外科的治療について、これまで20回の学術集会、では有意義な症例報告、研究発表、教育講演、海外招請講演などがあり、またシンポジウム、パネルディスカッションなども含め、活発な討論がなされてきました。
このたびの第21回総会(学術集会)はメインテーマを『気胸治療の標準化とExpertの責務』とし、まずは本邦での医師初期臨床研修の場で、呼吸器内科医、呼吸器外科医のみならず、他の診療科の医師でも適切に臨牀研修医を指導する指針となる「原発性自然気胸の標準的治療のアルゴリズム」「どうする?胸腔ドレナージ」「外来での気胸治療」等について討論していただき、また、研修医の方々向けに、ドレーン挿入法や嚢胞切雛の方法など気胸治療に大切な実技モデルを用いたハンズオントレーニングのブースを設けたいと考えております。
一方で、本学会の使命でもあるExpert、Professionalとしての難治性続発性自然気胸、高齢者気胸、女性気胸、自然血気胸、外傷性血気胸などに対しての集学的治療や、新しい機器や手技を用いたLess invasive thoracoscopic surgeryに関するシンポジウム、ワークショップ、一般演題で有意義な発表と活発な討論を期待しております。
海外招請講演としてProf. Chen JS (Department of Surgery, National Taiwan University Hospital and National Taiwan University College of medicine)にご講演を依頼しております。気胸やCOPD、嚢胞性肺疾患、LAMなどの看護、呼吸療法(リハビリテーション)に係る医師以外の医療スタッフや研修医による発表のセッションを設け、優秀演題賞の表彰を行うことも企画しております。
現会員の皆様のみならず、研修医や看護師、呼吸療法士などの医療スタッフの皆様にもご参加いただけるような、実りある学術集会を開催できますよう社会医療法人天神会グループが一丸となって準備を進めてまいりたいと存じます。
第21回日本気胸・嚢胞性肺疾患学会総会
会長 林 明宏